「うまいこと言おう」とすると伝わらない。
「うまいこと言おう」
この気持ちがあると
不思議と伝わらない。
私自身
スピーチトレーナーという立場上
「うまく話そう」
という思いにとらわれることがあるが
それが一番
聴き手にとっては
わずらわしいものであると
身にしみて感じる。
そういう意味での失敗も
数えきれないほどある。
話のうまい人が
信用されるわけではない。
とつとつとした話し方でも
その人の人間性が伝わるのが
一番心に届くのだ。
私が過去一番響いたのが
結婚式に出席した時に
聴かせて頂いた
新婦のお父様の友人の
乾杯のあいさつである。
新婦の受験の日
雪が降ったので
受験会場まで送っていくことを申し出たが
途中で車が動かなくなった。
何とか受験することが叶い、合格。
その後も、見守ってきて
きょうの日を迎えて本当に嬉しいという
エピソードだった。
乾杯の段階で新婦は大粒の涙を流し
すぐにお色直しとなった。
「うまいこと言おう」と思う時
矢印は自分に向いている。
矢印は本来「相手」に向けるものだ。